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サイトの情報を効果的に捌くナンバリング
ナンバリングの効能
ウェブデザイナーなら誰しも1ページの中に大量の情報を詰め込んだ、いわゆる「長いページ」のデザインに苦労したことがあるのではないでしょうか。主にメインのサイトから派生する「スペシャルサイト」や「ランディングページ」などが顕著な例ですが、1ページという制約のなかで、いかに情報を整理し表現するかは存外難しいものです。
このような長いページのデザインに対処する時、効果的な手法の一つが「ナンバリング」です。具体的には、ページ内の情報をカテゴライズして番号を振っていくという至ってシンプルな手法ですが、表記そのものが順番や位置を内包する「数字」をデザインに組み込むことで、情報を表示するレイアウトが斬新なものであっても、適切な進行軸を認知させてくれます。
また、ナンバリングには別の効能もあります。それはグラフィックデザインとしての役割です。例えば、ページの内容が文章主体であるとき、数字をグラフィックとして装飾的にも用いることで、デザインとしてのアクセントが生まれ、単調な見た目にならないという効果が得られます。
実際にデザイン上に数字を表記しなくても、長いページを設計する上流工程においてナンバリングを行うことで、カテゴリ分けや重要度の精査、露出の順番などを整理することができます。
ナンバリングによるブランディング
情報整理において有用なナンバリングですが、この「番号を振る」という行為そのものをブランディングに昇華させた例を紹介したいと思います。
1980年代に隆盛を誇ったイギリスのレコードレーベル「ファクトリー・レコード」。所属アーティストとしては、ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー、ハッピー・マンデーズなどが有名なところです。
このレーベルのグラフィックデザインを担当していたのが、イギリスを代表するデザイナーの一人であるピーター・サヴィル氏です。彼らは楽曲作品だけでなく、ポスターや映像などのアートワークから、レーベルの社屋、備品、ひいては飼っていた猫にまで、レーベルのカタログ番号を振るということを行っています。
FAC 1 | イベントのポスター |
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FACT 10 | アルバム 『アンノウン・プレジャーズ』 |
FAC 51 | 経営するクラブ 「ハシエンダ」 |
FAC 61 | 元所属プロデューサーがファクトリーに対し起こした訴訟 |
FAC 73 | シングル 『ブルー・マンデー』 |
FAC 136 | オリジナル粘着テープ |
FAC 191 | クラブに住みついた猫 |
FAC 251 | ファクトリー本社社屋 |
FAC 383 | バイキングと呼ばれるニュー・オーダーの熱狂的ファンたち |
FAC 401 | 映画 『24アワー・パーティ・ピープル』 |
FAC 461 | アートワーク作品集 |
一見、無秩序にみえる物事をすべて作品として包括的にナンバリングすることで、レーベルの世界観をユーモラスに表現している好例です。
最終的にはレーベル創設者トニー・ウィルソン氏が亡くなった際に、彼の棺にまで「FAC 501」が付けれたというのですから、その徹底ぶりには驚かされます。
されど、ナンバリング
いかがでしたでしょうか。たかがナンバリング、されどナンバリング。大量の情報を目の前にお困りのウェブデザイナーの方は、デザイン着手前にいったん番号を振ってみてください。思いのほかスムーズに制作を進めることができる筈です。
- 出典:
- *1:Cerysmatic Factory(https://cerysmatic.factoryrecords.org/)